2010年 03月 30日 ( 1 )

火宅の人

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「火宅の人」、とは燃えている家に住む人、転じて現実社会の人、の意だそうです。

小説「火宅の人」は、昭和の大文豪、檀一雄の自叙伝で、酒を愛し、旅を愛し、食べることを愛し、もちろん女も愛した自由奔放な作者が、妻子と愛人との間を行ったり来たりした15年間を、20年という歳月をかけて書いた長編です。

昭和の大文豪らしく、文体は非常に重厚で、私は国語辞典を引き引き読みました。が、内容は、とても素直な、一人の男のロマン!です。


ちなみに妻子の内訳は、妻ヨソ子、長男(先妻との子)、次男(病床の身)、長女(後のエッセイスト檀ふみ)、次女と、別の家にも、幼少のころ、“幼い自分と父親を捨てて若い男と逃げた”自分の母親も住まわせています。

まさに「家宅の人」・・・。

そして、そんな檀一雄の生活を、奥さんの目線で書いた小説が「檀」です。

こちらは檀一雄の没後、作家の沢木耕太郎氏が、奥様の檀ヨソ子さんにインタビューしたものを題材にしていて、主人公は一人称でも二人称でもない、いわばテレビのドキュメンタリー番組のような形式になっています。

「檀」は、「火宅の人」を読んだあとに読みました。
そして奥さんの視点からは、こうだったんだ~・・・と感心したり、一緒に憤ったり。

そしてこの本が非常に優れている点は、沢木氏が誰の代弁もしていないところ。だと思います。
決して奥さん主体に偏っていない。
題材がどろっどろなわりに、後味の悪さどころか、最後の「やはり生まれ変わっても檀と一緒になる。」という奥さんの言葉に、爽やかさすら感じます。

「檀」のあとにまた「火宅の人」を読み返してしまいました。

ちょっと変わった『サンドイッチ読書』ですが、どちらの本も、単体で読んでももちろん面白い作品でした。


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by fm_k | 2010-03-30 17:14 | *Diary | Trackback | Comments(0)