夜は短し歩けよ乙女
2010年 03月 16日
そもそもプロの小説家が書いているものに、同じ文章でもって蘊蓄を語るなんてなんと畏れ多い!!と思っているのですが、書いちゃいます。
めっちゃ面白いです。
主人公は、黒髪の乙女こと「彼女」と「私」。二人は同じ大学(京都大学)のサークルの後輩(女)と先輩(男)です。
『彼女が後輩として入部してきて以来、すすんで彼女の後塵を拝し、その後ろ姿を見つめに見つめて数ヶ月、もはや私は彼女の後ろ姿に関する世界的権威』という私は、彼女が出没する場所に、偶然を装っては出かけていく。
頻発する偶然の出会いにも彼女は「奇遇ですねえ!」と言うばかり。
そしてそんな二人を謎の金貸し『李白さん』や、吉田神社に願をかけてパンツを履き替えない『パンツ総番長』、プリンセス・ダルマ『紀子さん』、古本市の神の『少年』、夜ごと先斗町でタダ酒を飲み歩く『羽貫さんと樋口さん』等、個性溢れる曲者たちと「オモチロイ」珍事件に巻き込まれていくのです。
物語はまるで「うる星やつら」のようなありえなさなのですが、主な舞台は京大で、もちろん構内や京都の実際に存在する神社、お店なんかも多数出てくるせいか不思議なリアルさをもっており、なにより主人公達が本当にイキイキと描かれていて、まるで自分の本当の友達のような錯覚さえしてきます。
「自分よ自分、なにゆえ不毛にご活躍?」
「しかいどっこい生きている。」と随所に登場する軽妙なフレーズも、彼女に振られるのが怖くて外堀を埋めてばかりいる(つもり)の「私」のダメっぷりも、「彼女」の天然ぶりも可笑しくて、あっという間に4章からなる物語を読んでしまいました。
そして、そしてこの4章の後半は、喫茶店「進々堂」でのクライマックスに向けて、それまでの“学園コメディ”から一気に“純然たるラブコメディ”に変貌します。
胸キュンです。
辛口自慢の私も思わず涙ぐんでしまいました。
本屋大賞2位にも選ばれた本作品、すでに読まれた方も多いと思いますがまだの方にはおすすめです。角川から文庫で出ています。
主人公を始めとし、愛すべきキャラクター揃いです。
きっと読み終わった後、ふふふ。と笑えます。
そしてきっと、前向きになれる小説です。
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by fm_k
| 2010-03-16 11:28
| *Diary